牡丹花
まだ寒い頃、おばあさんが何人か錦通りを大きな籠を背負って歩いたはりました。
背中の籠には、
牡丹の苗がたくさん入っていて、道行く人に売ったはるのです。
夕方になって、おばあさんが
残った苗を買うてくれと店に来はりました。
島根から汽車で来たので、こんなたくさん持ってよう帰らんと言わはるのです
主人は気の毒に思い持ったはった苗を全部買わはりました。
見ると苗の土は乾きかけていて、早く植えてと言いたげです
店が終わってから、電気の下で土を振るうとこから始めて植えてやりました。
忙しうて長いこと園芸てしてへんかったンです。
何年前か、そんな事で、私たちはうちの牡丹に出会いました。
可愛さはひとしおです。
主人も叔父も
華やかな八重の牡丹を可愛がりますが、私はこの
品の良い、淡いピンクの一重を愛しています。
昔読んだ聊斎志異に、道教の寺で出合った美女ふたりが、牡丹と椿の花の精だつたと言う話がありました。
この頃「なるほどねぇ」と思い出します。
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