優しい亭主関白
毎年年末か年明けに
松葉蟹を買いにきてくれはるご主人がいやはります。
温泉に行って蟹食べはるのが、しんどうなってきたて、言わはって、
奥さんと二人で食べやはると言うたはりました
けど、今年は・・・
奥さんが、検査入院中やて、言いに来てくれはりました。
そやし、
蟹は奥さんの退院待ち、やそうです。
「
僕はね、なんにも、せえへんの。
昔の男やから。
亭主関白なん。
お茶も自分で入れられへん・・・
そやし、魚食いたいけど、買っても食べれへんの」
今年の
二月には検査結果が出るて言うたはりました。
けど、来はらへん・・・
「ええこと、ないのと、違うやろか・・・」
今日ご主人が来てくれはりました。
やはり、
悪性、やったそうです。
「又、来年にするわ。
嫁はん、退院するまで、待つし」
「
大将、ほな、うちに、お茶だけでも飲みに寄ってくださいな。
奥さんみたいには、よう、淹れへんけど」
亭主関白ていわはっても、おかずの買い物をしたげやはるお方。
優しい、奥さんを大事に思うたはるお方。
その方のためにも、奥さん、はよ、ようなって、来年はおふたりで、蟹食べれはりますように
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