まるたけえびすに
「なあ、まるたけえびすの唄、五条で終わりやなぁ」
焼き場から店に出てくると、主人がそない言います。
「へぇ、何?」
「
まるたけえびすに おしおいけ~ やろ、ほんで、
あねさんろっかく たこにしきぃ~ しあやぶったか まつまんごじょう で、後しってるか~」
「うーん、
せったちゃらちゃら なんとか」
すると、ばいと君が
「うわぁ、大将、言い切ってたのに」
NHKのBSで、「おーい、ニッポン」という番組がありますけど、それの取材やったそうです。
「しぃやぁー、はっずかしぃ~」
「手ぇまで、叩いて、拍子とって、思い切り唄うてましたよぉ」
「もぉ~ 嫁さんの顔が見たいわぁ~」
この際やし、調べてみよと思いました。
丸竹夷まるたけえびす
丸竹夷二押御池まるたけえびすにおしおいけ
姉三六角蛸錦あねさんろっかくたこにしき
四綾仏高松万五条しあやぶったかまつまんごじょう
雪駄せったちゃらちゃら魚の棚うおのたな
六条三哲ろくじょうさんてつ
とおりすぎ
七条しちじょう
こえれば八九条はっくじょう
十条東寺じゅうじょうとうじ
でとどめさす
十条が出来たんは大正時代やそうで、もともと室町の頃は五条までやったそうで、主人は昔の唄のほうを知ったはったみたいです。
ちなみに、主人がないと、きっぱり言い切ったらしい東西の通り名の唄は
寺御幸てらごこ
寺御幸麩屋町富柳堺てら ごこ ふやちょう とみ やなぎ さかい
高間東車屋町
たか あい ひがし くるまやちょう
烏両替室衣からす りょうがえ むろ ころも
新町釜座西小川しんまち かまんざ にし おがわ
油醒ヶ井で堀川の水
あぶら さめがい で ほりかわ の みず
葭屋猪黒大宮へ
よしや いの くろ おおみや へ
松日暮に智恵光院
まつ ひぐらし に ちえこういん
浄福千本はては西陣
じょうふく せんぼん はては にしじん
番頭さんはどっちも知ったはりました。
「唄うたげやはったら、よかったのにぃ」
「そやそや、浪花節の節回しでなぁ」
けど、節回しがイマイチ知らんそうです。
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