お山めぐり 伏見稲荷参り
今年は寝込んでしまったけど、ほんまは、お正月には体力を残しとかなあかんのでした。なんでかと言うと、
お山めぐりをしなあかんからです。
お稲荷さんは、商売人やったら初詣は欠かせません。本殿もにぎわっていますけど、
お稲荷さんで面白いのは、皆自分の神さんのところに行くんです。それが、お山めぐりです。
本殿から左に行くとおみくじ売り場があって、その左から段を上って右にいくと、よく写真に写る鳥居が密集して並んでいる
奥の院へ行く道がありますけど、私らが行くのは左からお山に行く道です。多分そのほうが空いているからやと思います。奥の院からでもお山は回れます。
私は外国の人を連れて行ってあげたら、凄いインパクトがあるとかねてより思っています。八百万の神という日本人の宗教観を体感できると思うんです。熊鷹さんという、まだまだ手前の大きいお社では、般若心経を唱える信者さんたちが和ろうそくの中で浮かび上がります。神仏はまだ分離されていません。
初めて行ったのは京大で働いていた頃の職場仲間とで、仕事始めの後初詣に行き、ほんの出来心でその中から私ともう一人がお山めぐりを始めたのですが、
歩き始めて自分達が甘く見ていたことに気がつきました。まだ上りなのに、日が暮れてきたのです。といっても、そこはお正月の事、人は切れないのですが、心細い事この上ありません。
「なぁ!?」まだまだ上りがあるはずなのに下っていく暗い道を下りながら、二人同時に言いました。けど、その後は違ごうてました。私は「変な人が来ても、絶対一人で逃げないでふたりで行きましょうね」でしたけど、その人はとんでもない事を言い出しました。「
狐はね、眉を唾で濡らすと化かせないのょ。あなた、やりましょう」
下りはやがて厳しい上りとなり、見たことのある道に戻り、ようやく私達は帰途に着いたのでしたが、既に陽は落ち、鳥居の間にある裸電球が、ふぃと、私達の目の前にいきなり影を落とし、どきりとさせ、本当に怖かったのです。忘れられない思い出です。
そんなお山めぐりを毎年することになったのは、結婚してからです。主人が信心する「奥村さん」にお参りするのです。お膳谷というブロックに行き、
小さな鳥居を求めて住所氏名を書いていただき、お供えも戴きます。お供えはカンカンと切り火をして清められます。ほんとうにあちこちに祠があるのですが、鳥居のないところはありません。
お参りしての帰りには、四の辻から降りていくのは一緒ですが、熊鷹さんに曲がらずまっすぐに下りていくと、私達が毎年頂く「
立春大吉」のお札を売っているお店があります。毎年同じ事が出来る事の幸せを噛みしめて帰って行きます。下まで降りると、お客さんで毎年お
稲荷さんの布のお財布をお正月におろさはる人があって、その人のために一つ買います。
買いながら、私はいまだにお
狐さんのお面のお煎餅が買いたくて眺めてしまいます。小さいとき、買うてもらうのが楽しみでした。お煎餅は色々あって、
お御籤のお煎餅も楽しみです。今年は寝込んで行けへんかって、残念でした。来年は行って、写真も載せますね。
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